突発性難聴
ある日突然、聞こえが悪くなるタイプの難聴です。30~60歳代の発症が多く、男女に偏りはありません。難聴が主な症状で、耳鳴りやめまいをともなうこともあります。発症後1週間以内に治療を開始することが重要な病気であり、生活に大きな支障を生じる可能性がありますので、できるだけ早く受診してください。
突発性難聴の原因
まだはっきりとした原因はわかっていませんが、内耳のウイルス感染や循環障害、ストレスの関与が指摘されています。
ウイルス感染によるものでは、ムンプス(流行性耳下腺炎)による片側の高度難聴があります。不顕性感染という症状の現れない状態で突発性難聴を発症するケースもあると考えられています。ただし、原因ウイルスの特定は困難です。
循環障害では、聴力と平衡感覚の機能を持った内耳が、血管の閉塞や痙攣を起こして発症する可能性が示唆されています。ただし、突発性難聴は再発しないことから、循環障害ではうまく説明できない部分があることが指摘されています。
ストレスは交感神経を活発化させるため、血管が収縮して内耳の血流不足を起こすと考えられます。それによって突発性難聴が起こる可能性があります。また、ストレスによって免疫機能が弱くなり、内耳障害につながるウイルスの再活性が起こって突発性難聴を発症する可能性も指摘されています。
突発性難聴の症状
主に難聴の症状が現れ、耳鳴りやめまいをともなうこともあります。
難聴(聞こえが悪くなる)
左右いずれか片側のみであることが多くなっています。治療を受けるまで難聴の程度が変動することはありません。治療によって改善した場合、再発することがほとんどないのも大きな特徴になっています。
耳鳴り
内耳には聞こえの役割を担う蝸牛と、平衡感覚を司る三半規管や前庭があります。聴こえに関係する神経は、内耳から蝸牛神経、前庭神経とつながっているため、難聴に加えて耳鳴りを起こすことがあります。
めまい
障害が強いと三半規管や前庭への影響も大きくなって平衡感覚が大きく乱され、めまいをともなうことがあります。難聴でめまいをともなう場合、重症度が高いと言えます。
突発性難聴の検査・診断
症状の内容や起こった時期についてお話をうかがった上で、純音聴力検査で聴力を調べ、語音明瞭度検査で言葉の聞き取りを調べます。
突発性難聴の治療
突発性難聴は、後遺症なく完治できる方が1/3程度、改善するものの完全にもとには戻らない方が1/3程度、治療効果がない方が1/3程度という難しい病気です。発症から1週間以上放置してしまうと改善できる可能性が低くなってしまいます。症状に気付いたらできるだけ早く受診してください。
治療では主にステロイドホルモン剤の投与を行い、血管拡張剤を用いることもあります。改善が見られない場合には、高圧酸素療法、ステロイドホルモン剤の鼓室内投与、星状神経節ブロックによる治療も検討します。耳鳴りが残るなどの不快な後遺症を残さないためにも、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。