耳の痛み
急性中耳炎、鼓膜炎、外耳炎などの炎症で耳の痛みが生じることがあります。痛みが強い場合には、水痘・帯状疱疹ウイルス感染が原因になって起こった炎症の可能性があります。また、耳の痛みは顎や喉が原因になって起こっているケースもあります。耳は顎関節と近接しているので、顎関節症で耳の痛みを感じることはよくあります。他に喉の炎症で耳の痛みが現れることもあります。これは、耳にある耳管という管が喉とつながっていて、舌咽神経の支配を受けていることから起こります。炎症によって痛みが起きている場合には、悪化や慢性化を防ぐためにできるだけ早い受診が重要です。さらに耳の痛みにともなって顔面の麻痺やめまいがある場合には緊急な処置が必要な可能性が高いため、すぐに受診してください。
耳だれが出る(耳漏)
耳だれで出てくる液体は、水のようなもの、粘り気があるもの、血液などがあります。原因によって耳だれの状態は変わりますが、外耳道や中耳の病気や外傷が原因となっている可能性があります。外耳道では、外耳道湿疹や耳かきのし過ぎによる耳だれがあり、これが細菌感染を起こすと外耳炎になります。
中耳炎が慢性化すると鼓膜に開いた穴から外耳に耳だれが出てくることがあります。内耳からの耳だれは外傷などによって起こり、水っぽいことが多くなっています。まれに体質的に耳あかがやわらかくて耳だれに似ているものが出てくることもあります。なお、血液の混じった耳だれの場合、中耳・外耳に悪性腫瘍ができている可能性があります。耳だれがあったらまずは受診してください。
聞こえが悪い
音がこもったように聞こえる、テレビなどの音量を上げないと聞き取りにくくなった、少しずつ聴こえにくくなってきた、突然音が聞こえなくなったなど等の症状を「難聴」と呼びます。難聴は突発性難聴、メニエール病、中耳炎など、耳の病気で起こることがあります。片耳だけに起こった場合、耳の痛みや耳だれがともなう場合、急に聞こえが悪くなった場合、耳鳴りやめまいをともなう場合には早期の受診が必要です。特に突発性難聴の場合、できるだけ早く受診することで聞こえが回復する可能性が高まります。
また、高齢になると起こるものに加齢性難聴があります。これは両方の耳が少しずつ聴こえにくくなりますが、補聴器の効果で大きく聞こえを改善できる可能性があります。当院では補聴器のご相談も受け付けております。
耳鳴り
実際には音がしていないのに、何かの音が聞こえる現象が耳鳴りです。耳鳴りは外部から聞くことが可能な他覚的耳鳴と、本人にしか聞こえない自覚的耳鳴に分けられます。他覚的耳鳴は、筋肉の痙攣や血管の拍動などが原因で、疾患によって起こっていることがあります。自覚的耳鳴は、原因がまだよくわかっていませんが、難聴の症状をともなうことがよくあります。特に、突然の耳鳴りは難聴が原因になっていることが多く、その場合には難聴の原因を調べてそれに合わせた治療を行います。特に器質的な異常なく起こっている慢性的な耳鳴りは、ストレスなどの影響もあると考えられています。
耳が詰まる
耳に水や異物が入っているように、聞こえが悪くなる、圧迫されるように感じる状態で、外耳・中耳・内耳のどこかに異常があって起こります。外耳では、耳あかや水、異物、炎症などによる腫れ、鼓膜に分泌物が付着しているなどで起こっている可能性があります。中耳では、中耳炎、かぜや体重減少、加齢などで耳が詰まる症状を起こすことがあります。中耳炎では滲出性中耳炎で中耳に水がたまって耳が詰まる症状を起こします。また、かぜなど喉や鼻の炎症を起こすと、耳と鼻の奥をつなぐ耳管が腫れて耳管の空気圧がうまく調整できずに耳が詰まった感覚が起こりやすくなります。他に、加齢や体重の減少によって耳管が開き過ぎてしまって起こることもあります。内耳で急性低音障害型感音(かんおん)難聴、メニエール病、突発性難聴によって耳が詰まる感じが起こることもあります。その場合、低音部の聞こえにくさ、めまい、金属音の不快感などをともなうこともあります。